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SHIFT SECURITY セキュリティの学び場 技術や仕組み VPNが侵入経路に?セキュリティ被害事例を解説

VPNが侵入経路に?セキュリティ被害事例を解説

VPNが侵入経路に?セキュリティ被害事例を解説
目次
  • VPNを利用している=安全とは限らない!?
  • VPNのセキュリティ被害の具体例
  • VPNのセキュリティ対策
  • まとめ

VPNを利用している=安全とは限らない!?

VPN(Virtual private network)は公衆網であるインターネット上で安全な通信を実現するための技術の一つです。その特性から、セキュリティを確保する手段の一つとして、広く使われています。例えば、テレワークの実現のために、インターネットから社内ネットワークにアクセスできるようにする。本社と拠点間・店舗間をプライベートネットワークで繋げるなどです。

一方で、VPNを導入している・利用しているから、セキュリティは問題なし、安全であるという思い込みを多く見かけます。残念ながら、VPN、またはVPNを実現するVPN機器もあくまで一つの技術・製品であることには変わりありません。そのため、他のIT資産と同様に、日々の継続的かつ適切な運用や管理が必要になります。

むしろVPNの安全が侵害された場合、不正なユーザーや悪意を持つユーザーが内部ネットワークに接続できてしまい、大変危険な状況になります。実際に近年はこのVPNが原因でセキュリティ被害にあってしまった事例が多くあります。

VPNのセキュリティ被害の具体例

VPNが原因のセキュリティ被害としては以下のような例が発生しています。

  • ・VPN情報、または認証情報の漏洩
  • ・不正アクセスによる個人情報や企業情報・営業情報などの情報漏洩
  • ・ランサムウェア被害
  • ・システム停止

そしてこれらの多くは、VPN機能を提供するルーターなどのネットワーク機器・VPN機器に存在する脆弱性を悪用されてしまったことが原因です。脆弱性が悪用されるまで放置されてしまった理由としては以下のような例があります。

  • ・VPNの特性上による安全が確保されているという思い込み
  • ・急激な社会変動によるVPN利用が余儀なくされたことでの適切な運用・管理への知識不足や人員不足、そして体制の不整備

とある事例では、社内ネットワークの急激な負荷増加の対応のために、臨時的措置として既に利用を辞めていたVPN機器を利用したところ、被害に繋がってしまったものもあります。

また、自社や国内拠点においては適切な運用や脆弱性管理が行われていたが、海外拠点や取引先経由で内部ネットワークへの侵入を許してしまったというサプライチェーン攻撃の問題も関係するのも特徴です。その他にもダークウェブで取引された認証情報や、公共アクセスポイントの利用により窃取された認証情報を用いられることもあります。

VPNのセキュリティ対策

今まで述べてきたようなセキュリティ被害に遭わないためには、次のような対策が有効であると考えられています。

  • ・VPN機器に対する適切かつ迅速な脆弱性管理
  • ・VPNの認証情報の管理
  • ・VPN機器や内部ネットワークの通信の監視
  • ・ユーザーのVPN利用状況の監視
  • ・組織内のVPN機器利用状況の把握
  • ・パートナーを含めたVPN利用者へのセキュリティ意識の育成と実践

まとめ

リモートワークの普及した現代のビジネス活動において、VPNは非常に重要な技術です。そしてVPNから内部ネットワークにアクセスできるということは、悪意を持つユーザーにとってVPNは魅力的な侵入経路になりうるということです。残念ながら、近年実際にVPNを侵入経路としてセキュリティ被害にあってしまう例が多く発生しています。

そのことを念頭に、VPNを利用する側は、「VPNを利用すれば安全である」という思い込みを辞め、継続的に適切かつ迅速な対策ができるよう検討する必要があります。

この記事の著者 京極 秀祐

ホワイトハッカーへの憧れを胸に新卒から情報セキュリティ業界へ。主にプラットフォーム・Webアプリケーション・スマホアプリケーション領域の脆弱性診断業務を経験した後、株式会社SHIFT SECURITYに入社し現在ペネトレーションテストの業務に従事。情報処理安全確保支援士。

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