こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字起こししご紹介しています。
大阪市は8月2日、大阪市立科学館におけるツイッター上での個人情報の漏えいについて発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】SNSの写真から個人情報が漏洩してしまったということです。SNSで写真を投稿する際に気を付けるべきポイントについて説明します。
今回のインシデントは、大阪市立科学館が運営するツイッターへ職員が写真を投稿したところ、応募者の住所及び氏名が書かれたはがきが映り込んでしまい、フォロワーからの連絡で発覚したということです。
再発防止策として、SNSに投稿する際は内容について複数人によるチェックを必須にするとともに、個人情報に係る意識向上に向けた研修を実施するということです。
今回のケースで個人情報に該当するものは、写真に映り込んだはがき、もしくははがきが映り込んだ写真そのものであると考えられます。個人情報保護法の条文を引用しながら、何が個人情報に該当するか説明します。
個人情報保護法の正式名称である「個人情報の保護に関する法律」の第二条には「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。」とされています。個人情報とは何か理解するために、この条文を分解していきます。
まず「生存する個人に関する情報であって」とありますので、生きている人が関連すると考えられます。続けて「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により」とありますので、生きている人の氏名や生年月日などが関連すると考えられます。最後に「特定の個人を識別することができるもの」とあります。実はここが一番重要で、個人情報は氏名や生年月日など個々の「生存する個人に関する情報」自体ではなく、特定の個人を識別することができる「もの」自体が個人情報に該当すると考えられています。
少し難しいと思うので、今回のインシデントにあてはめてみます。今回、写真に映り込んでいたのは「1名分の住所と氏名」です。1名分の住所と氏名は「生存する個人に関する情報」なので、今回漏洩した個人情報は何かと問われたら「特定の個人を識別することができるもの」として「はがきもしくは写真」とするのが妥当と考えられます。
重要なことは、氏名や生年月日を分離しても個人情報に該当する場合があるということです。ただし、専門分野によっては議論の余地があると思われますので、個別の判断については弁護士の先生にご相談してください
SNSへ写真を投稿する前に確認しておいた方が良いことは、『文字以外の個人情報も含まれていないか』、『写真に映像以外の位置情報などが含まれていないか』、『生体情報が映り込んでいないか』などが挙げられます。それぞれについて説明します。
SNSは便利なサービスではありますが、様々なリスクが潜在していることもお分かりいただけたのではないでしょうか。皆さんの個人情報がかけがえのないものであることも忘れずに、SNSを安全に楽しく利用してください。
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