こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
国立研究開発法人国立成育医療研究センターは10月6日、1月13日に公表した「小児医療情報収集システム」web サイトへの不正アクセスについて、詳細な事象と調査経過、今後の対応策について発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】管理用のIDとパスワードが推測されて、ホームページが書き換えられてしまったということです。ホームページを改ざんされないための対策や、パスワードを設定する際に気を付けるべきポイントについて説明します。
今回のインシデントは、不正に設置されたと推測されるファイルが見つかった旨の連絡が政府機関からあったことで発覚しました。具体的には検索サイトで「激安」と検索した際に、被害のあったドメイン内のURLが多数ヒットしたということです。状況としては、Webサーバ内に無関係なファイルが作成され、ヘッダー部等のWebサイトの外見や動作に影響のない既存のものの一部が書き換えられていました。
インシデントの原因として、CMSとして使用していたWordPressの管理用IDとパスワードが類推しやすいものであったため、取得されて不正利用されたことと推定されています。また、発見翌日まで委託先業者に連絡がつかず、当日は緊急対応が指示できなかったこと、アクセスログの保存期間の設定が比較的短く、調査に限界があったことも問題として挙げられています。
対応として、インシデントが発覚した当日に被害のあったドメインを削除し、翌日からWebサーバを停止しています。また、再発防止策として、IDとパスワードの運用の適正化と、委託先業者の管理と対応を改善し、管理体制を見直すとともに、ログ及びバックアップについても運用の改善に取り組むということです。
攻撃者の目的は、管理者に改ざんしたことが発覚することを遅らせるためであると考えられます。インシデントの詳細は公開されていませんので、あくまでも一般論として説明します。
攻撃者が脆弱性をついてWebサーバへ侵入できたとします。攻撃者はホームページをマルウェアやフィッシングサイトなどへ書き換えることができます。しかし、改ざんしたことに管理者が気が付いてしまうと、脆弱性が修正されたり、サーバが停止されたり、対策をされてしまいます。これでは、攻撃者の目的を継続して達成することができません。
そこで、攻撃者は一定条件のみで目的のページが表示されるように、ホームページを改ざんする場合があります。具体的には、フィッシングメールのリンクからたどってきた場合は改ざんされたページが表示されるけど、トップページからたどった場合は表示されず、まったく改ざんされていないように見えるといった感じです。このような方法によって、管理者によって対策されることを回避して、サイバー攻撃がより長く継続されることを狙います。
このような技術は、マルウェアのシステムでも使われることがあります。具体的には、セキュリティベンダーが解析目的でアクセスした場合は、悪意のある動作をしないような仕組みが使われている場合があります。
パスワードの設定と管理についての考え方は様々ありますが、共通して言えることは「他人に知られないようにする」ということです。
パスワードが人により設定されるセキュリティである以上、脆弱であることは否めませんので、FIDOに限らず属人的ではないセキュリティ対策で大切な情報資産を守りたいですね。
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