こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
株式会社日立製作所は10月8日、日立グループの2021年12月13日以降の全てのメール送受信で、パスワード付きZIPファイルの利用を廃止すると発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】パスワード付きZIPファイルをメールの添付ファイルとして送受信することを、組織として廃止することを決めたということです。いわゆるPPAPの問題点や、コストをかけても廃止する意味について説明します。
セキュリティ用語のPPAPとは、「パスワード付きzip暗号化ファイルを送ります」「パスワードを送ります」「暗号化」「プロトコル」の頭文字を取った、メールで添付ファイルを送信する日本固有の習慣です。セキュリティチェックがかけられないことでリスクが増大するという考え方もあります。
いわゆるPPAPは多くの人に利用されていますが、暗号方式としてセキュリティを担保できるものでなく、パスワード付きZIPファイルでセキュリティチェックを回避するマルウェアも現れています。こうした背景のもと、PPAPを廃止することを決定したということです。なお、パスワード付きZIPファイルが添付されたメールが送受信された場合は、受信者と送信者に対し、配送を抑止した旨がメール通知されることになるということです。
PPAPのリスクが増大するポイントとして、添付ファイルに対してセキュリティチェックがかけられないことが挙げられます。具体的な内容について説明します。
メールの送受信において、パソコンや中継するメールサーバなどで、添付ファイルがマルウェアではないかセキュリティチェックが行われている場合があります。もし、添付ファイルがパスワード付きZIPファイルであった場合、ZIPファイルを展開するためにはパスワードが必要となります。しかし、中継するメールサーバは展開するためのパスワードを知らないために、圧縮されたファイルの中身がマルウェアであるかどうかのセキュリティチェックをすることはできません。これが、PPAPでセキュリティリスクが増大してしまうとされている問題の正体です。
この問題を逆手にとって、かつて猛威を振るったEmotetなどのマルウェアは、パスワード付きZIPファイルを添付することで、マルウェアが検出されないようにセキュリティチェックを回避していました。まさに、攻撃者が実際に運用の中身を熟知した上での選択であると考えられます。
短期的コストが発生しても、PPAPを廃止する意味はあると考えます。理由は、中長期的には社会的コストを下げる可能性があるからです。
我々も「お金がなくてセキュリティ対策ができない人」を一人でも多く救うために、無償のセキュリティサービスを含めて、様々な取り組みを継続してきました。そしてこの度、集大成として「誰の手にもセキュリティがいきわたる社会」を実現するための取り組みをスタートさせました。興味のある方は下記のリンクから概要をご覧ください。
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