こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
日本マイクロソフト株式会社は6月15日、Internet Explorer 11 のサポート終了について、同社のブログで発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】IE11のサポートが終了し、代わりにMicrosoft Edgeを使う必要があるということです。長年使われてきたIEことInternet Explorerのサポート終了に伴い、セキュリティで気を付けるべきポイントについて説明します。
今後、Internet Explore のアイコンは引き続き表示されますが、クリックすると、代わりにMicrosoft Edgeが起動しIE モードにアクセスできるようになります。ただし、最終的には永久に無効となり、その時点でデバイス上のInternet Explorerアイコンが削除されるということです。
なお、同社では少なくとも 2029 年まで、Microsoft EdgeでのIE モードのサポートを約束しています。
ソフトウェアのサポートが終了する場合にセキュリティで気を付けるべきポイントは、脆弱性が発見された場合でも修正プログラムの提供がされない可能性があることです。結果として、脆弱性を修正できずにサイバー攻撃の被害を受ける可能性があります。
例えば、Aさんが家電製品を買ったとします。テレビや洗濯機でも、保証期間がありますね。保証期間内であればメーカーが修理を受け付けてくれるかもしれませんが、保証期間外になると、修理にお金がかかったり、修理を受け付けてくれなかったりしますね。それだけならまだしも、保証期間を過ぎた家電製品を使い続けていると、何らかの不具合で事故が起こってしまうことがあるかもしれません。
ソフトウェアでも、サポート期間が定められていることがあり、その期間が終了した後はバグがあっても修正プログラムが提供されない場合があります。そのバグがセキュリティ上の問題である脆弱性であった場合、単に動かなくなるだけではなく、サイバー攻撃に悪用されてしまう可能性もあります。
サポート期間が終了したソフトウェアについては、脆弱性の有無自体も確認されないことがあり、リスクが潜在していること自体にも気が付くことができない場合があるかもしれません。
IEがサポート終了になる理由は様々あることが考えられますが、その1つにIEがWinodows 95から始まったその歴史に答えがあるかもしれません。あくまでも一般論として説明します。
最初のバージョンであるIE 1は1995年にリリースされたWindows 95の一部バージョンに含まれていました。最初は低機能でしたが、その後バージョンアップを繰り返し、1997年にリリースされたIE 4では、Windows 98に標準で搭載され、シェアを拡大していきます。しかし、このOSとの統合は多くの批判を受け、独占禁止法に違反するとして裁判に発展するだけではなく、後にセキュリティの問題も引き起こすことになります。
2001年にはIE 6がリリースされますが、すでにIEでは脆弱性の多さと対応の遅さが表面化していました。理由は、冒頭で説明したIEがOSと密接に結びついた構造であったため、ブラウザを介したサイバー攻撃が、そのままOSにまで影響を及ぼすこともあったためです。当時はIEに対するゼロデイ攻撃も多く、IEを使用すること自体がセキュリティリスクと揶揄される時代もあったと記憶しています。
IE 7以降ではOSとの分離や、セキュリティ強化を目的とする仕様変更が積極的に行われたため、サイバー攻撃の被害は相対的に減少しているように感じられますが、過去の歴史からIEに対してセキュリティの不安を感じるユーザは少なくないかもしれません。
そして、Windows 10から標準ブラウザはMicrosoft Edgeに置き換えられることになります。IEの開発は終了し、その使用もMicrosoftは推奨していません。Edgeには機能としてのIEモードが用意されているものの、IEとEdgeは互換性がないため、まったく別物であると考えられます。よって、IEはその歴史とともに幕を閉じることになります。
今回は、IEのサポート終了に伴いセキュリティで気を付けるべきポイントについてお届けしました。IEの歴史はセキュリティの歴史とも言えますので、気になる方はぜひ調べてみるといいかもしれません。
今日の10分セキュリティラジオにて毎週月・水・金にセキュリティの最新ニュースを取り上げ解説を行っています。隙間の時間の情報収集にぜひお役立てください!
お見積り・ご相談など、お気軽にご相談ください
サイトTOPへ