リフト・アンド・シフトとは、システムをオンプレミスからクラウド環境に移行する戦略の一つです。リフト・アンド・シフトは「リホスト(REHOST)」とも言われ、システムの構成を変更せずにクラウド環境へ移行する方式を意味します(※ 注①)。
この方法は単純であり、既存の運用方法やスキルを流用するため、初期コストや期間を抑えつつ、クラウドによる動的なスケーリング等のメリットを享受できます。
一方で、サーバレスのようなクラウドネイティブな構成や機能を適用しない為、柔軟性や信頼性等のクラウドの恩恵を十分に受けられない場合もあります。また、クラウド環境特有のセキュリティの脅威に晒されるため、リフト・アンド・シフトだけでは移行が上手く行かない場合があります。
※ 注①
リフト・アンド・シフト の定義では「シフト」を「クラウドへの適用」という意味で用いられる場合も一部で見られます。ここでは、以下の資料に見られるように「REHOST」と同義の意味で用います。
リフト・アンド・シフトは最も単純な移行戦略ですが、これだけでは上述のようにクラウドのメリットを十分に享受できません。このため、様々な移行戦略が提案されています。
代表的なものとしてはAWSがまとめる「6つの一般的な戦略(6つのR)」があります。これは以下の戦略の組み合わせからなります。
昨今、クラウド移行の失敗事例などから「オンプレ回帰」のような話題も耳にする機会があります。「6つのR」が戦略の組み合わせであるように「単純なリホスト」や「今ある全てをリファクタリング」のような単純な選択が失敗事例に繋がっているように見えます。クラウド移行の成功には対象システムをしっかり評価し、移行計画を中長期的な視点で戦略を練る事が重要と言えます。
また、「クラウドの重大セキュリティ脅威 11の悪質な脅威」でも紹介したように、「クラウドセキュリティアーキテクチャと戦略の欠如」はクラウドを利用する上で大きな脅威となります。リフト・アンド・シフトによる単純な移行では特に、このような脅威への注意が必要と言えます。
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