こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
ガートナージャパン株式会社は7月25日、2023年以降に企業のセキュリティに大きな影響を与え得るサイバーセキュリティに関する主要な仮説を発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】ゼロトラストやセキュリティサービスエッジなど、サイバーセキュリティに関する未来予測について発表されています。発表されている仮説から主要な内容を抜粋して説明します。
今回の発表では、セキュリティ/リスク・マネジメントのリーダーがデジタル時代で成功を収めるために押さえておくべき主要な仮説を解説しています。
2023年以降に向けたサイバーセキュリティに関して注視すべき主要な仮説は
の8つです。
ゼロトラストが失敗すると考えられている理由の一つとして、ゼロトラストという言葉が先行して広まっており、ゼロトラスト自体が目的化してしまうことが考えられます。
今回の発表では、「ゼロトラストはセキュリティの原則であると同時に組織のビジョンでもあるため、そのメリットを享受するには、文化面の転換と、ゼロトラストをビジネス成果と結び付ける明確なコミュニケーションが必要」とされています。また、ゼロトラスト移行のすゝめでも、「ゼロトラストとは概念であり、唯⼀無⼆の正解という構成はない。なぜなら組織が抱える課題はそれぞれ異なるから」とされています。
これらから分かるように、ゼロトラストを導入することが目的化してしまい、セキュリティの課題を解決するに至らないことが考えられます。よって、ゼロトラストは、セキュリティの課題を解決する手段として、運用とセットで考えることが求められます。
オペレーショナル・テクノロジとは、OTと略される社会インフラや工場などで使われる制御技術です。IoTの普及によりITとの融合が進む中で、一般的なITとは想定される脅威やセキュリティ対策が異なることから、甚大なインシデントにつながる可能性があるとされています。
今回の発表では、「機器、資産、プロセスを監視または制御するハードウェアやソフトウェアであるオペレーショナル・テクノロジへの攻撃が、より一般的に、そして、より破壊的になる」とされています。電気、ガス、水道などを制御するOTがITと融合されることによって、我々の生活は便利で豊かになりました。一方で、ネットワークへの接続を前提としていないOTが多く、想定される脅威については見直す必要があります。具体的には、ITでは頻繁に発生するDDoS攻撃も、OTで発生した場合は社会インフラ停止という、物理的な被害が発生することを想定しなければなりません。
今回の発表でも、「情報の窃取よりも、むしろ人間や運用環境への現実的な危険について、懸念すべき」とされています。場合によっては人命も関わるインシデントとして、OTのセキュリティには向き合っていく必要があると考えられます。
今回は、セキュリティの未来予測についてお届けしました。あくまでも仮説ではありますが、十分に想定される未来でもありますので、ご覧の皆さんも参考にしてみてください。
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