こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
政府は、「『世界一安全な日本』の創造のための新たな戦略(仮称)」(案)に関する意見募集を、e-Govポータルにおいて11月20日まで受け付けていた。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】世界一安全な日本の創造戦略に関する意見が募集されています。サイバー空間における安全性を確保するために、今後必要な取り組みについて説明します。
今回の意見募集は、サイバー空間の脅威を始めとした様々な治安課題が出現していることから、政府を挙げて犯罪対策を着実に推進していくため、その戦略案を作成したことで行われています。
新たな戦略案では、「デジタル社会に対応した世界最高水準の安全なサイバー空間の確保」が第1章となっていることが特徴的で、サイバー空間の安全性に注力していることがうかがえます。第1章は「サイバー空間の脅威等への対処」「国際連携の推進」「インターネット上の違法・有害情報等の収集及び分析の高度化」「民間事業者、関係機関等と連携したサイバーセキュリティ強化」で構成されています。
「デジタル社会に対応した世界最高水準の安全なサイバー空間の確保」には、リアル空間と同じく、セキュリティを当たり前のものにする必要があります。
例えば、皆さんが日本に住んでいる限り、飲んでいる水や、吸っている空気に、不安を感じることはないと思います。我々は生まれながらにして、世界一安全な国である日本に慣れ親しんでおり、これらの安全性は当たり前のものとして、社会全体に行き渡っています。しかし、世界に目を向けると、世界で約20億人の人が安全に管理した飲み水を使用できていません。大気汚染や温暖化の環境問題は言わずもがなです。
安全なサイバー空間の確保も同じで、世界最高水準の安全性を確保するためには日本の水と空気のようにセキュリティを当たり前にする必要があります。
セキュリティがすべての人に行き渡るためには、人、技術、お金がなくてセキュリティ対策ができない人を救う必要があります。我々がセキュリティ格差解消に向けて、無償のセキュリティサービスS4などに全力を注いでいる理由でもあります。
【1】 デジタル社会に対応した世界最高水準の安全なサイバー空間の確保
個人的に気になる部分として「民間事業者、関係機関等と連携したサイバーセキュリティ強化」が挙げられます。
内容から一部を抜粋すると、「セキュリティベンダー等との連携の強化」「産学官の知見等を活用した対策の推進」「民間事業者等との協力によるサイバー攻撃対策の強化」「地域において活動する多様な主体との連携強化」などが挙げられています。総じて、行政と民間企業の連携が重要視されており、それぞれの役割を整理する必要があると考えます。
社会構造として、行政と民間企業はそれぞれ、主に社会課題を解決することが役割であると定義することができます。行政は多くの人が求める難易度が高い社会課題を解決し、民間企業は経済合理性のあるビジネス領域で社会課題を解決してきました。それぞれの補完関係により、多くの社会課題は解決されつつあります。もちろん、セキュリティも同様です。
しかし、セキュリティも含めてすべての社会課題を解決できているかというと、そうではありません。具体的には、少数の人が解決を求める高難易度の社会課題は放置される傾向にあります。選挙が多数派による任期付きの選出であったり、ビジネスが儲かる領域でのみ行われている以上は、セキュリティでも取り残された人を生む結果となります。そのために今何をやるべきか模索した結果、我々はS4に行きついたところです。
今回は、サイバー空間における安全性を確保するために、今後必要な取り組みについてお届けしました。
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