こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
飲食店を運営する株式会社ワン・ダイニングは4月14日、ワン・ダイニング各ブランドサイトへの不正アクセスについて発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】不正アクセスにより、ホームページが改ざんされてしまったということです。不正アクセスの定義や、ホームページが不正に改ざんされた際に気が付く方法について説明します。
今回のインシデントでは、アクセス時に不正なリダイレクトが行われ、正常に閲覧出来ない状態となっていました。原因として、各ブランドサイトへの不正アクセスが挙げられています。
対策として、サーバ内にあった不正プログラムを全て削除しています。再発防止策として、今後、セキュリティ対策を講じ、安心して利用できるよう努めるということです。
不正アクセスとは、本来は権限を持たない人が、システムへアクセスする行為です。システムに放置された脆弱性や設定ミスが原因で、ホームページ改ざんやシステム停止、情報漏えいや踏み台行為に利用されることで、被害を受けた組織のブランドが棄損されることがあります。
例えば、Aさんが偶然、Bさんが使っているパスワードを知ったとします。Aさんが興味本位でそのパスワードを試してみたら、システムにログインすることができました。仮に、Aさんがすぐログアウトして、改ざんや削除など、一切何もしていなかったとしても、本来アクセス権限を持たないAさんがBさんのアカウントでログインをしていますので、立派な不正アクセスとなります。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律、いわゆる不正アクセス禁止法では「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」としており「これに違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる」としています。また、他人のパスワード等を不正に取得する行為や不正アクセス行為を助長する行為なども禁止されています。
かつて、Webアプリケーションの脆弱性を利用してWebサーバのファイルへ不正にアクセスしたとして、脆弱性を指摘した元研究員が不正アクセス禁止法違反で起訴されています。元研究員は「Webアプリケーションにはアクセス制御機能がなく、不正アクセスにはあたらない。」と主張しましたが、管理者の想定している通常のアクセス行為とは異なるとして、有罪の判決が下されています。
ホームページの改ざんや不正プログラムの設置に気が付くためには、システムの改ざんを検知する仕組みと、そのログを監視することが必要です。
まず、正しい状態のシステムを記録して比較することで、何らかの変更が発生した際に検知することができます。正しい状態のシステムを記録して比較する方法の一つとして、ハッシュ値が挙げられます。ハッシュ値とは、データを一定の長さの文字列に変換するハッシュ関数によって出力されたデータです。正しい状態のハッシュ値を記録して比較することで、ハッシュ値を取得した元となるデータに何らかの変更が発生した際に検知することができます。
そして、それらの改ざん検知の仕組みやWebサーバ自身のログを監視することが求められます。セキュリティ対策が導入されていても、監視や運用が適切に行われていなければ有効に機能しません。セキュリティ対策が出力するログに不審な点はないか、ログの出力が適切に設定されていることを含めて、定期的に確認することが求められます。
今回は、不正アクセスの定義や、ホームページが不正に改ざんされた際に気が付く方法についてお届けしました。
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