こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は4月14日、令和4(2022)年度の「iパス(ITパスポート試験)」の年間応募者数等について発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】IT資格を取得しようとしている非IT人材が、勤務年数の長い社員を中心に増えているということです。IT資格の受験者が増えている背景や、ITやセキュリティの人材不足について説明します。
ITパスポート試験、略してiパスは、セキュリティやネットワークなどのITに関する基礎知識をはじめ、経営戦略、財務、法務、プロジェクトマネジメントなど、ITを利活用する全ての社会人が備えておくべき幅広い分野の総合的知識を問う国家試験です。
2022年度のiパス応募者を勤務先別で見ると、非IT系企業である金融・保険業、不動産業での応募者数が多い結果となり、業務別でも営業・販売の応募者数が多い結果となりました。また、社会人応募者数を勤務経験年数ごとの割合でみると、中堅・ベテラン社員の構成比率が高く、特に22年以上のベテラン社員の構成比率が約4分の1を占めているということです。
iパスの受験者数が増加している背景として、DX推進のために対応を迫られている現状が、特に中堅・ベテラン社員で多く発生していることが考えられます。
よく、ご覧の皆さんから「セキュリティを勉強したいのですが、何から始めたらいいですか」という質問をいただきます。当社内でもそのような質問を受けることがあるのですが、その際は「セキュリティ資格の取得を目指してみては」と言うようにしています。
理由として、資格を取得するという明確な目標を設定することで、一定期間モチベーションを維持しながら勉強できることが挙げられます。「これ読んでおいて」と脆弱性診断の本を渡し、具体的な目標を設定せずに、ただ勉強を続けるのはなかなか困難なことであると思います。
また、ITやセキュリティの資格は体系的に必要とされる情報が整理されており、これから勉強を始める人にとって、網羅的に知識を取得できることが期待されます。脆弱性診断のような特定分野の専門知識を座学だけで習得することは現実的に困難ですが、ITやセキュリティ全般の知識を広く習得するためには、資格の取得を目標として勉強を進めることが効率的であると考えられます。
どれだけ教育が行き届いてもITやセキュリティの人材不足が解消されない理由の一つとして、教育の機会が平等でも、結果は必ずしも公平ではない、エクイティの考え方が欠如していることが挙げられます。
例えば、セキュリティ会社へ入社したばかりのIT業界未経験のAさんがいたとして、セキュリティエンジニア経験者と同様の教育を実施したとします。エンジニア経験のないAさんにとっては、知識を習得することは困難ですし、何を勉強しているのかすらわからず、ただ時だけが過ぎていくのではないでしょうか。
教育の機会は平等に提供されるべきなのですが、必ずしも結果が公平であるとは限りません。社会課題であるITやセキュリティの人材不足を解消したいのであれば、教育だけに頼らない標準化や仕組化が必要であると考えます。
ITやセキュリティの知識がある人とない人がいます。セキュリティ業界であれば、ホワイトハッカーのような能力のある人だけが活躍できる環境では、現在の社会課題に向き合っているとは到底言えません。そのような状況で、教育だけに頼らない標準化や仕組化によって、多様な人材が働ける環境を我々は実現してきました。
今回は、IT資格の受験者が増えている背景や、ITやセキュリティの人材不足についてお届けしました。
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