こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
個人情報保護委員会は9月13日、サーマルカメラの使用等に関する注意喚起を発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】サーマルカメラで撮影した個人情報の取扱いについて、注意喚起が出されています。今回は、撮影した画像や、身の回りにある個人情報の取り扱いで、気を付けるべきポイントについて説明します。
個人情報保護委員会は事業者に向けて、サーマルカメラを使用する場合と製造・販売する場合の個人情報保護法上の留意点を取りまとめています。サーマルカメラを使用する場合、特定の個人を識別することができる顔画像は「個人情報」に該当し、それらの集合物が、電子計算機を用いて特定の個人情報を検索することができるよう体系的に構成されている場合は、当該顔画像を含む情報の集合物は「個人情報データベース等」に該当するということです。
サーマルカメラで「個人情報」を取り扱う場合、個人情報である顔画像等の利用目的をできる限り具体的に特定して公表することや、個人情報を取得されていることが本人に認識できない場合は、容易に認識可能とするための措置を講じることが挙げられています。
また、サーマルカメラで取得した顔画像の情報が「個人情報データベース等」を構成する場合は、顔画像を含む個人データを利用する必要がなくなった際に、当該個人データを遅滞なく消去することや、当該個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じること、廃棄したり、売却したりする場合は、保存された個人データを復元不可能な手段で消去する等、個人データの漏えい等を防止するために必要な措置を行うことが挙げられています。
サーマルカメラとは、遠赤外線を検出することにより、対象物の温度を検知することができるカメラです。計測した遠赤外線の強弱に合わせ、画像処理で色を付けることで視覚的に温度の分布が分かりやすいサーモグラフィーを表示することができます。
監視目的や電気設備などの点検に使用されていましたが、数年前からは感染症対策の一環としても利用されるようになりました。
そして、サーマルカメラが検温の目的として様々な場所で利用されるようになったため、個人を識別することができる顔画像は個人データに該当することから、その取扱いについて注意喚起が出されるに至りました。
画像を撮影する際に気を付けるべきポイントとして、画像ファイルにメタデータが保存されている場合があることに注意する必要があります。
写真の場合、Exifが保存されている場合があります。Exifとは、デジタルカメラなどで撮影した画像データにメタデータを保存するためのデータ形式を定めた規格です。撮影日時やカメラの情報、GPSの位置情報などが保存されるため、そこから撮影時の状況が意図せず漏えいしてしまう可能性があります。特定の個人を識別することができるものは、個人情報となりえることに注意しましょう。
個人情報保護法では、個人情報の定義を「生存する個人に関する情報であって、この情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」としています。免許証やマイナンバーカードはもちろんのこと、路上で記入したアンケートや認証のために使われる顔や指紋のデータも、組み合わせによっては個人情報になることも注意してください。
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