こちらのnoteは、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字起こししご紹介しています。
東京電力エナジーパートナー株式会社は7月7日、同社の顧客情報を不正に入手した他社への電気契約の切り替えや勧誘が判明したと発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】取引先による顧客情報の不正な入手と利用が判明したということです。入手した顧客情報の利用や内部犯行で気を付けるべきポイントについて説明します。
取引先がホームページのチャットサポートを悪用して顧客に成りすまし、顧客情報を不正に入手したということです。入手した顧客情報は営業活動や、顧客の同意なく契約の切り替えに利用しようとしたことが、顧客の問い合わせから判明しました。
被害を受けた企業は再発防止策として、チャットサポートのシステムに制限を設定することで、不正に顧客情報が取得できないようにしたということです。また、不正に取得された顧客情報による契約変更は無効とされています。
チャットサポートをはじめ、顧客情報を大量に扱うシステムでは、他のシステム以上にセキュリティに気を付ける必要があります。具体的に考えられるセキュリティの脅威は「内部犯行」です。
今回は一般的な不正アクセスとは異なり、関係者のみが知りえる情報を悪用したインシデントであると考えられます。具体的には、委託先に与えられた権限を悪用して、チャットサポートから顧客情報を入手したとされています。つまり、脆弱性を悪用してシステムへ侵入したわけではなく、持ち合わせた権限を組み合わせて不正に顧客情報を入手したことが考えられます。今回は委託先による不正ということで、完全な内部犯行ではありませんが、与えられた権限を悪用したという意味では、内部犯行に近いインシデントであると考えられます。
内部犯行による顧客情報の不正利用は不正競争禁止法で訴えられることが多いようです。不正競争禁止法とは1993年に作成された、企業の重要な営業情報などを内部犯行などから保護する法律です。サイバー攻撃は不正アクセス禁止法で訴えられることが多いため、裁かれる法律も異なります。理由は「通常アクセスによる不正」であるためです。
主に情報システムを対象とした内部犯行を防ぐ対策について説明します。IPAが2013年に作成し、現在は第4版が公開されている「組織における内部不正対策ガイドライン」では、次の5つを内部不正防止の基本原則としています。
内部犯行は防ぐことも、気が付くことも難しいインシデントの一つです。人は弱いという「性弱説」に基づいて、不幸な内部犯行者を生まないセキュリティ対策が組織として実施できるといいですね。
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