こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
内閣府は2023年2月28日、2022年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果(速報)を公表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】小中高校生におけるインターネットやスマートフォンの利用状況について、いずれも前年度より増加傾向にあるようです。未成年がインターネットを使用する際のリスクと、その対策について説明します。
今回の調査は、満10歳~満17歳の青少年、青少年と同居する保護者、0歳~満9歳の子供と同居する保護者を対象に実施されています。結果として、10歳以上の小中高校生は約4時間41分、低年齢層も2時間を超え、いずれも前年度より12~17分増加しているということです。
また、青少年におけるインターネット利用割合は全体の98.5%で、インターネットを利用する機器は、「スマートフォン」の73.4%がもっとも多く、インターネットのおもな利用目的は、全年齢を通じて「動画を見る」が総じて高い傾向です。
家庭内のインターネットルールについては、低年齢層の子供の保護者のうち、81.1%が「決めている」と回答した一方で、青少年の学校種が上がるにつれて、「ルールを決めていない」との回答が増え、青少年と青少年の保護者の「ルールの有無に関する認識のギャップ」が広がっていることがわかったということです。
未成年を狙ったサイバー攻撃は、金銭以上に個人情報の窃取に気を付けることが必要です。
未成年の場合、クレジットカードを保持できなかったり、インターネット上で決済をする際に様々な制限があったりします。結果として、フィッシング詐欺などで金銭にかかわる情報を窃取される可能性が低くなりますが、逆に個人情報については成人と同様の対策が求められます。
具体的な個人データとして、住所、氏名、年齢だけでなく、写真や動画にも気を付ける必要があります。今回の調査で、小中高校生におけるインターネットの利用状況について、スマートフォンで動画を多く利用していると発表されています。例えば、SNSなどで未成年から個人情報を聞き出し、待ち伏せをするなどして物理的な接触を試みることで、様々な犯罪に巻き込まれることが考えられます。
なお、未成年が個人データを渡さなくても、保護者がSNSなどで子供の写真や動画をさらしてしまうことでも、同様の被害を発生させる可能性がありますので、注意が必要です。
スマートフォンのセキュリティ対策であるフィルタリングは、主にサイトやアプリに対して、ブラックリストとホワイトリストの形式で行います。それぞれについて、できるだけわかりやすく説明します。
まず、ブラックリスト形式とは、制限する対象の一覧をリスト化することです。リストにない対象のみにアクセスすることができるため、明確に禁止したい対象だけを制限できる一方で、禁止する対象を常に最新の状態に維持する必要があります。
スマートフォンのフィルタリングでは、ブラックリストがカテゴリ分けされていることが多く、アダルトやギャンブルなど、明らかに未成年にとって不適切なサイトを禁止したり、SNSやコミュニケーションなど、保護者の判断を伴うサイトを個別に禁止したりすることが可能です。
また、ホワイトリスト形式とは、許可する対象の一覧をリスト化することです。リストにない対象にはアクセスすることはできないため、意図せず許可してしまう可能性が低い一方で、許可する対象が多い場合、運用が煩雑になる可能性があります。
スマートフォンのフィルタリングでは、ホワイトリストの運用として、未成年のスマートフォンで見られないサイトや使えないアプリの申請を行います。その後、保護者のスマートフォンに申請内容が表示されますので、内容を確認した上でホワイトリストに追加することができ、未成年がサイトやアプリへアクセスすることを許可することが可能です。よって、これらのブラックリストやホワイトリストのフィルタリングは、保護者の同意を仕組化した対策ということができます。
今回は、未成年がインターネットを使用する際のリスクと、その対策についてお届けしました。
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