こちらの記事は、セキュリティ専門家の松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」の放送内容を文字に起こしご紹介しています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は6月26日、「全体最適へ向かうデジタルツイン~ 拡大するデータ収集・再現対象 ~」を発表した。(記事はこちら)
【お届けするニュースはサイバーセキュリティ専門ニュースサイト「ScanNetSecurity」の提供でお送りしています。】物理空間とサイバー空間をシンクロさせるデジタルツインについて発表されています。デジタルツインの概要や、セキュリティの観点で気を付けるべきポイントについて説明します。
今回のレポートは、デジタルツインについて、その概要と、近年のデジタルツインにおけるデータ収集・再現対象の拡大について、ビジネスにおける活用例を踏まえて解説しているものです。同レポートでは業務プロセスのデジタルツインとして、ドイツの地方航空会社による2019 年からの継続的な取組を取り上げ、業務プロセスの効率化と顧客満足度の向上に成功したと紹介しています。
また、デジタルツインの構築には社内の機密情報を反映することが多く、機密情報の流出や、データ改ざんを防ぐためにもセキュリティを強化する必要性についても述べられています。
デジタルツインは、物理空間に存在するモノやヒト、プロセスをサイバー空間に双子のように再現したもの、またそれを活用したシステムを指します。また、物理空間での実装前にテストやシミュレーションを行うためにサイバー空間で作成する仮想的な試作品やモデルも、デジタルツインと呼ぶ場合が多くあります。
サイバー空間上でデザインされ、修正されたモノやプロセスを物理空間に実装することで、サイバー空間と物理空間の「双子」の関係が成立します。実装後は、物理空間での動作結果をサイバー空間のモデルに反映して分析し、フィードバックすることで、継続的な改善も可能になるということです。
デジタルツインは、様々な組織で業務プロセスの効率化に活用されているようです。例えば、みなさんが家事のタタイムパフォーマンスを向上させようとする際に、どのようなことができそうですか?
1日を振り返ってみて、無駄な作業があったら、効率化できないか客観的に考えたりしますよね。ビジネスも同様で、業務プロセスの効率化をするためには、デジタルツインを活用することで、客観的に自社の課題を洗い出すことが有効になるようです。
ドイツの地方航空会社では、並行して行われる空港地上業務プロセスのタイムスタンプを取得し、そのデータをダッシュボードに可視化することで、非効率なプロセスを特定し、改善する取り組みを継続的に行っています。結果として、年間累計10,000時間に及んでいた出発遅延が、翌年には約半分に減らすことに成功しているということです。
デジタルツインへリアルタイムに反映されるデータに、機密情報が含まれる可能性について気を付ける必要があります。
例えば、みなさんが家事のタイムパフォーマンスについて、デジタルツインを活用して効率化した際に、みなさんの活動が随時記録されることにより、場合によってはみなさんの私生活が丸裸になってしまうことも、併せて気を付けなければなりません。
同レポートでは、ヒトのデジタルツイン構築では個人データを収集することになるため、いっそうのセキュリティ強化と、個人情報保護のための法令遵守も求められると解説しています。今回は、デジタルツインの概要や、セキュリティの観点で気を付けるべきポイントについてお届けしました。
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